— フィールドエッセイ 第4回 —

恐竜はなぜ絶滅したのか

· 3分 · フィールドエッセイ

ひとことで言うと

6,600万年前、いまのメキシコの沖合にあった浅い海に、直径10キロほどの小惑星が飛びこみました。空は塵におおわれ、植物には光が届かなくなり、短いあいだに鳥以外の恐竜はすべて姿を消します。鳥も無事ではすみませんでした。古いグループの多くが、この大災害を越えられなかったのです。

ティラノサウルスの復元画

全部が滅びたわけではない

まずは訂正から始めましょう。恐竜は絶滅していません。窓の外のスズメはその直系の子孫で、コウモリが哺乳類にふくまれるのと同じように、進化の系統でいえば鳥は恐竜にふくまれます。だから古生物学者は、より正確に「鳥以外の恐竜(非鳥類型恐竜)が絶滅した」と言います。このつながりがどこから来たのかは、羽毛についてのノートをどうぞ。

大災害の被害は、恐竜だけにとどまりませんでした。プテラノドンをふくむ翼竜も、モササウルスなどの海の爬虫類も消えています。恐竜といっしょに滅びはしましたが、だからといって恐竜の仲間になるわけではありません。

小惑星がもたらしたもの

衝突の傷あとは、メキシコのユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーターです。痕跡は世界中で見つかります。白亜紀と古第三紀の境界にある薄い地層に、小惑星の物質と、すさまじい圧力でゆがんだ鉱物の粒がふくまれているのです。2024年には、この地層のルテニウム同位体から、やって来たのがどんな天体かもわかりました。木星の軌道より外側で生まれた、炭素質の小惑星です。

被害は落下地点だけではすみませんでした。2023年の計算によると、最大の元凶はごく細かい岩石の塵です。すすや硫黄といっしょに何年も大気中にただよい、光合成をほぼ2年にわたって止めてしまいました。同じモデルでは、地表の気温は最大15度下がっています。まず植物とプランクトンが死に、それを食べていた動物が続き、最後に肉食動物が倒れました。

火山はどうだったのか

同じころ、いまのインドにあたる場所ではデカン・トラップが溶岩を流していました。現在の地球には見られない規模の、広大な溶岩台地です。火山ガスは気候を変えました。2024年のデータでは、衝突のおよそ3万年前に起きた大噴火が、地球を少なくとも5度冷やしています。ところが気温は、衝突の2万年前にはもとにもどっていました。そのため火山の役割はいまでは二次的とされていますが、議論が決着したわけではありません。

恐竜はそれ以前から衰えつつあった、とかつては考えられていました。2025年の研究が描いたのは逆の姿です。種の数が減って見えるのは、この時代の地層があまり残っていないからで、ニューメキシコでは、衝突前の最後の数十万年まで多様な恐竜たちが暮らしていました。ティラノサウルスもトリケラトプスも、落ちこぼれではなかったのです。世界の変わり方があまりに急すぎました。

生き残ったもの、滅びたもの

生きのびるための決まった処方せんはありませんでした。小さな体に助けられたものもいれば、好き嫌いなく何でも食べたこと、水中の暮らし、隠れ場所にこもる習性が救いになったものもいます。それでも、無傷ですんだグループはありません。鳥も哺乳類も、たくさんの系統を失いました。

グループが生き残っても、その種がすべて生き残ったわけではありません。残った系統から少しずつ新しい姿の動物が生まれ、からっぽになった地球にふたたび広がっていきました。恐竜の歴史はそこで終わってはいません。いまも毎朝、近所のえさ台で続いています。

よくある質問

恐竜はすべて絶滅したのですか?

いいえ。消えたのは鳥以外の恐竜で、鳥の一部は大災害を生きのびました。いまの鳥はみな、その子孫です。

チクシュルーブ・クレーターはどこにありますか?

メキシコのユカタン半島です。一部は陸の下に、一部は海底の下にあります。

絶滅の原因は小惑星ですか、火山ですか?

小惑星です。デカン・トラップの噴火も気候を変えましたが、2024年のデータでは、衝突の前に気候はすでに回復していました。そのため火山の役割は二次的とされています。

ワニや哺乳類はなぜ生き残れたのですか?

すべてに当てはまる理由はひとつではありません。系統ごとに、暮らし方と食べものの組み合わせが助けになりました。小さな体、何でも食べること、隠れ場所、そして水です。

このエッセイに登場する種

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