— フィールドエッセイ 第6回 —

プテラノドンが恐竜ではないわけ

· 3分 · フィールドエッセイ

ひとことで言うと

「恐竜」と書かれた箱には、よくプテラノドンの絵がついています。でも、それはまちがいです。プテラノドンは翼竜、つまり恐竜に近いけれど独立した、空を飛ぶ爬虫類のグループの一員です。大きさも、古さも、飛べるかどうかも、親戚関係の決め手にはなりません。決め手になるのは、どこから来たかと骨格のつくりです。

プテラノドンの復元画

古い爬虫類がみな恐竜とはかぎらない

中生代には数えきれないほどの爬虫類がいて、恐竜はそのひとつのグループにすぎません。翼竜は恐竜の近い親戚で、いとこのような間柄ですが、系統は別です。ですから、いくら耳になじんでいても、「空飛ぶ恐竜」は翼竜の正しい呼び名ではありません。

プテラノドンは、翼竜のなかでいちばんよく知られた顔です。歯のないくちばし、後頭部にのびる長いとさか、大型のオスなら最大7メートルに達する翼。メスはずっと小さく、4メートルほどでした。翼は膜でできていて、それを支えるのはたった1本の、そのかわりとてつもなく長い第4指です。

翼のつくり方は二通り

鳥の翼は、アーキオプテリクスのような初期のものから、羽根で空気を受けとめるしくみです。羽根をまとっていたのは鳥だけではありません。鳥以外の恐竜にもいて、たとえばミクロラプトルには前あしにも後ろあしにも長い羽根が生えていました。

翼竜は、膜を使う独自のやり方で空へ進出しました。とはいえ、はだかだったわけではありません。体は細い毛のような繊維におおわれていて、ブラジルのトゥパンダクティルスでは、2022年に枝分かれした繊維も報告されました。これを羽毛の一種とみる研究者は少なくありません。ついでにもうひとつ。プテロダクティルスとプテラノドンは、時代のちがう別の動物です。

海の爬虫類は?

モササウルスは、恐竜からさらに遠い存在です。いまのトカゲやヘビと同じ有鱗類という大きなグループに属していて、どんなトカゲでも、ティラノサウルスよりはモササウルスに近い親戚なのです。あしはひれに変わり、体は流線形になりました。本気で海へ引っ越した動物は、みなそうなります。

首長竜と魚竜は、それぞれまた別のグループです。見た目が似ているからといって、だまされてはいけません。流線形の体やひれは、海の動物たちのあいだで何度も、別々に生まれてきたのです。

なぜ区別するのか

グループの名前の裏には、歴史があるからです。古代の爬虫類をまとめて恐竜と呼んでしまうと、いちばんおもしろいところが消えてしまいます。空へも海へも、さまざまな系統がそれぞれ独自の道をたどって進出していきました。この図鑑で翼竜や海の爬虫類が恐竜と並んでいるのは、親戚だからではなく、中生代の全体像を見てもらうためです。

よくある質問

プテラノドンが恐竜に入らないのはなぜですか?

翼竜だからです。翼竜は爬虫類の独立した系統です。親戚関係は起源と骨格のつくりで決まり、見た目が似ているかどうかは関係ありません。

プテロダクティルスとはどうちがうのですか?

プテロダクティルスはジュラ紀に生き、歯がありました。プテラノドンはもっとあとの白亜紀に現れ、歯がなく、体もずっと大きかったのです。

水と深くかかわった恐竜はいましたか?

いました。スピノサウルスは水辺に住んで魚を食べていました。どのくらい上手に泳げたかは議論が続いています。いまの恐竜、つまり鳥なら、水鳥はいくらでもいます。

プテラノドンは人間を運べたのですか?

そう考える根拠はありません。翼が大きいからといって、重い荷物を持ち上げられたことにはなりません。

このエッセイに登場する種

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